大人の矯正について
大人になっても年齢制限
なく治せる歯並び
大人の矯正治療に年齢制限はありません。しかしながら年齢を重ねていくと歯を支える周りの組織(歯茎や骨など)の状態が悪くなる可能性があるので、矯正治療をすることが難しいことや、目指すゴールが妥協的(状況に合わせたゴール)になる場合があります。
また大人の矯正治療は比較的長期にわたるため、途中で転勤やお引っ越しなどがあると転院の必要が生じたり治療が長期化してしまうことがあります。まとまった時間が取れるタイミングでスタートをすることもポイントです。
大人矯正のメリット
大人の矯正治療を望まれる方のほとんどは
審美的な改善が大きな理由になっていると思います。矯正治療を行うと、審美的な側面はもちろんですがお口の中の健康改善および維持にも大きく貢献します。
噛み合わせは歯の寿命にとって非常に大きな要素となります。8020運動(80歳で20本の歯を残す取り組み)において「開咬(上下の前歯が当たらない)」「反対咬合(受け口)」「叢生(ガタガタ)」の3つが8020運動達成を大きく妨げることが厚生労働省の歯科疾患実態調査で明らかになりました。
このような噛み合わせの方は、どれだけ歯ブラシなどのセルフケアを頑張っていても、将来的に歯を失くすリスクが非常に高いということです。人間の噛む力(咬合力)は非常に強く、およそ自分の体重もしくはそれ以上の力がかかっています。この咬合力が局所的に過大になると様々な歯科疾患を引き起こします。この咬合力を分散させ、コントロールを担うのが噛み合わせです。
矯正治療によって正しい噛み合わせにすることで歯の寿命が長くなり健康的なお口の状態を長く保つことができるようになります。
利用する矯正装置
1. ワイヤー矯正治療
- ブラケット
(歯の表面につける装置です) - ワイヤー(ブラケットに通します)
2. マウスピース矯正治療
- マウスピース
3. 補助的矯正装置
ワイヤーやマウスピースに加えて歯の動きを
サポートする様々な装置を必要に応じて使用します。
- TAD(歯科矯正用アンカースクリュー)
必要に応じて小さな細いインプラントのようなものを骨に打ちます。そこから歯に力をかけることで目的の歯だけを動かすことが可能になります。 - 保定装置
矯正治療終了後に綺麗に並んだ歯並びを維持する装置です。ご自身で取り外しができる装置です。
矯正治療の流れについて
1検査
- 写真撮影
- 型取り
- レントゲン撮影
上記のような検査を行います。
必要に応じて他の検査も追加します。
2診断
治療計画について説明します。実際に使う装置や治療期間、抜歯の有無などについて詳しくお話します。
3治療開始
治療計画に基づいて治療を開始します。矯正治療前に虫歯などの治療が必要な場合には、一般治療から開始します。
治療中に気をつけること
矯正中に虫歯にならないために重要なこと
まずはご自身のセルフケアが重要になります。装置がつくと磨きづらくなる部分があります。歯科医師や歯科衛生士に指導してもらい注意して磨くようにしましょう。
また、定期的なクリーニングに通いましょう。矯正治療中に虫歯や歯周病になると矯正治療の進みも遅くなります。矯正治療の予約日と合わせてのクリーニングも可能です。
調整の際に行うクリーニングについて
矯正治療の調整時にもクリーニングを行いますが、診療時間とその日の矯正治療内容によっては最低限のクリーニングになることもありますので併せて定期的なクリーニングにも通われることをお願いしております。
生活習慣やなるべく食べてほしくないもの
装置が付いている期間は装置が外れる原因になりますので粘着性の高い食べ物(キャラメル、ハイチュウなど)は控えていただく必要があります。また、あまりに硬い食べ物も同様に装置の破損などの原因になりますので控えていただきます。
表側矯正
(審美ブラケット矯正)
について
一般的なワイヤーによる矯正治療で、歯の表側に装置とワイヤーをつけて歯並びを治します。
表側矯正のメリット・デメリット
メリット
- 多くのケースに対応
- 治療の確実性、完成度が高い
デメリット
- 見た目が少し目立つ
- 歯ブラシが難しくなる
表側矯正で対応できるケース・
できないケース
できるケース
- 基本的に全てのケースに適応できる
できないケース
- 顎の骨の骨格的な問題(重度の受け口など)がある場合にはワイヤーのみの治療では治すことが難しい場合がある
- 重度な歯周病などにより歯を支える周りの組織に問題がある場合には治療が難しいことがある
表側矯正Q&A
Q. 年齢制限はありますか?
年齢制限はございません。
Q. 一般的な表側矯正と審美ブラケット矯正の違いはなんですか?
ブラケット(歯の表面につける装置)が昔は金属やプラスチックでしたが、近年ではセラミックのものが普及しているので、前歯などの目立つ部分にはセラミックのブラケットを使用します。
Q. 先生が行う表側矯正の特徴や強みを教えてください。
できる限り治療期間が短くなるように治療計画を立てて治療していきます。
細かい部分までワイヤーを微調整することで確実かつ完成度の高い治療を行います。
Q. どんな方に表側矯正をおすすめしますか?
細かいところまでしっかりと治したい方。
マウスピースをつけたり外したりするのが煩わしい方におすすめです。
Q. 表側矯正の治療期間はどのくらいですか?
歯の動きには個人差があります。また歯並びによっても治療期間は異なってきますが一般的には2〜3年となります。
Q. なるべく目立たないように表側矯正はできますか?
セラミックブラケット(透明な装置)、特殊加工のされたワイヤー(光を反射させる加工)を使うことで従来に比べて目立たなく治療することができます。
マウスピース矯正に
ついて
従来のワイヤーの治療とは異なり、透明なマウスピースを装着することで歯並びを綺麗にします。
マウスピース矯正の
メリット・デメリット
メリット
- 透明な装置なので目立たない
- ご自身で取り外しができるので歯ブラシなどのお掃除がしやすい
デメリット
- 治療のできるケースとできないケースがある
- 1日20時間以上使用していただく必要がある
マウスピース矯正で対応
できるケース・できないケース
できるケース
- 少しのガタガタ
- 軽度の出っ歯
できないケース
- 受け口
- 大きなガタガタ
- 重度な出っ歯
マウスピース矯正Q&A
Q. 先生が行うマウスピース矯正の特徴や強みを教えてください。
マウスピース矯正のみでの治療が難しい場合でも、ワイヤー矯正と併用することでマウスピース矯正の適応になる場合があります。
またワイヤー矯正を組み合わせることで治療期間を短くすることができます。
Q. マウスピース矯正はどこの医院で治療しても同じでしょうか?
どこのクリニックでも治療は可能ですが、矯正の専門的な先生に診てもらうことをおすすめします。マウスピース矯正のみでは少し難しいケースでもワイヤー矯正を組み合わせることでしっかりと早く治療を進められることがあります。ワイヤー矯正は技術が必要であり、矯正の専門的な先生がいる医院が安心です。
Q. どんな方にマウスピース矯正をおすすめしますか?
お仕事上ワイヤーをつけれない方、見た目が気になる方におすすめです。
Q. 年齢制限はありますか?
年齢制限はありませんが重度の歯周病などがある場合にはできないことがあります。
Q. マウスピース矯正の治療期間はどのくらいですか?
ケースによりますが、1〜3年程が一般的です。
Q. 矯正治療と一緒にホワイトニングもできますか?
医院でのオフィスホワイトニング、ご自宅でのホームホワイトニングを並行して行うことも可能です。
Q. プラスチックのマウスピースをはめるだけで、本当に歯が動くのでしょうか?
歯を動かした状態の模型でマウスピースが作製されているため、そのマウスピースを装着することで歯が動きます。
Q. 1日どのくらいの時間装着していればいいですか?
20時間以上の装着が必要です。
Q. 他院でマウスピース矯正は適応外と言われたのですが、先生の矯正では適応する事もあるのですか?
ケースにもよりますが、マウスピース矯正のみでの治療が難しい場合はワイヤー矯正を併用したハイブリットな治療方法をご提案できる場合があります。
部分矯正について
少しの前歯のガタガタやすきっ歯、被せ物の前に部分的に歯並びを良くしたいなど矯正装置を気になる部分のみにつけて治療する方法です。
部分矯正のメリット・デメリット
メリット
- 気になるところのみを治すので、比較的短期間で終わります。
- 被せ物やブリッジなどをする際に歯を削る量を少なくして、形の良い被せ物を入れることができます。
デメリット
- 見た目のみを治すので、咬み合わせなどが悪くなることがあります。
部分矯正Q&A
Q. 部分矯正はワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらも対応していますか?
どちらで行うことも可能です。
Q. どんな方に部分矯正をおすすめしますか?
少し見た目だけ改善したい方、適切な被せ物を入れたい方などが向いています。
Q. 部分矯正の治療期間はどのくらいですか?
歯を動かす量にもよりますが3〜12ヶ月ほどです。
舌側矯正
歯の裏側に装置を付けて矯正を行う方法です。歯の裏側に装置をつけるため、他の人に気付かれることなく矯正治療をおこない歯並びを治すことができます。
歯を削って治すのと
歯並びを治すことの
違いについて
治療期間の違い
近年、セラミック矯正という言葉を耳にする機会があるかもしれません。このセラミック矯正とは一般的な矯正治療とは異なり、歯を動かすことはしません。
ではどのように歯を並べるのかというと、天然の歯を大きく円柱状に削って綺麗な歯並びになった被せ物を装着して、あたかも綺麗な歯並びになったかのように見せる方法です。確かに治療期間としては短くて済みますが、元々ガタガタの歯並びの上に無理矢理に向きや大きさの違う被せ物をするので歯の位置によっては非常に大きく歯を削る必要が出てきます。もちろん神経がある状態で歯を大きく削ることはできないので、わざわざ健康な歯から神経を取り除くことになります。(神経のない歯は死んでいる状態です)
もちろん、元々の歯の形や大きさに問題がある場合には単独もしくは矯正治療と並行してセラミック治療を行うことがあります。これにより審美的、機能的な噛み合わせを確立することでお口の中の長期的な健康を保つことに繋がります。しかしながら、本来美しさと機能性を追求するべきところを手軽さだけを理由に神経を取り除き、大きく削り落とすセラミック矯正は医学的治療と呼ぶには難しいかもしれません。
抜歯と非抜歯について
抜歯になるケースと
ならないケースの違いについて
矯正治療において途中の歯を抜くケースがあります。ケースとして多いのがガタガタと出っ歯になります。まずガタガタの歯並びは原因として歯の大きさと顎の大きさのバランスが悪く、生える隙間が十分にないためガタガタに生え揃います。そのため矯正治療で歯を並べるために抜歯をするケースが多いです。出っ歯はガタガタが大きくなくても抜歯になることがあります。これはガタガタになる代わりに前歯が大きく前方に傾いて生えることで隙間を確保しているからです。このため原因としてはガタガタと同様で根本的には隙間が足りていないことがほとんどです。前に飛び出た前歯を後ろに引っ込めるためには後ろに隙間が必要です。そのため出っ歯のケースでも抜歯をすることが多くなります。
矯正治療で抜歯が必要と言われると、抜歯をすることは良いことなのか?という疑問が生じると思います。この抜歯するか抜歯しないか(非抜歯)は100年以上も昔から矯正医の中で長く議論が行われてきました。昔は科学的な根拠に基づいた判断ではなく、どこか宗教的哲学的な判断をしていることがほとんどでした。
現在の世界の標準的な考え方としては、顎の骨や歯の大きさには個人差が多いため、宗教的哲学的な判断ではなく抜歯が必要な患者では抜歯を行うべきであるという考え方に落ち着いています。また、顎の大きさなどの観点からアジア人では抜歯が必要な患者の割合は増えるとされています。
抜歯・非抜歯の決定は下記項目を
詳細に分析し、決定する
- 歯並びの状態
(ガタガタ、出っ歯、受け口など) - 噛み合わせの状態
- 歯の1本1本の状態
(欠損、虫歯、根の治療、親知らずなど) - 上下の前歯の角度
(出っ歯具合、引っ込み具合) - 上下の顎の大きさとバランス
- 横顔のバランス
(口元の突出具合、鼻の高さなど)
矯正治療を行うクリニックはたくさんあるため、どこで治療を行うか迷われる方がいらっしゃるかもしれません。一つの選択の方法として、「当院は絶対に 歯を抜きません」「当院は必ず抜歯をします」などの極端な治療方法を紹介するクリニックではなく、精密な検査と分析に基づいた治療計画を提案されるクリニックを選ぶのが良いかもしれません。
矯正歯科 料金表
相談料 |
無料 |
---|---|
検査診断 |
35,000円 |
CBCT代 |
10,000円 |
セットアップ代 |
20,000円 |
成人矯正
メタルブラケット、メタルワイヤー |
700,000円 |
---|---|
セラミックブラケット・ ロジウムワイヤー |
800,000円 |
マウスピース矯正 |
800,000円 |
部分矯正 |
150,000円〜 |
舌側矯正 |
1,100,000円〜 |
処置料 (ワイヤー、マウスピース) |
5,000円 |
処置料(保定装置) |
3,000円 |
歯科矯正用アンカースクリュー |
20,000円/1本 |
便宜抜歯 |
10,000円/1本 |